助成金活用も!産後ケア施設を開設するには

ここ数年の間で利用者が増えている「産後ケア施設」ですが、
2023年にこども家庭庁が産後ケア事業の助成金の利用要件撤廃し、より幅広い人が利用しやすくなったことが影響しています。

産後ケア事業自体は自治体が主体となって、地域の医療機関などに委託して行っていますが、
令和4年度に実施された総務省による「産後ケア事業の実施」に関する調査によると、
61%の市町村が「委託先の確保」に苦労しているということがわかっています。

病院・助産所などの委託先が地域によって偏在しているため、委託先を見つけることが難しいということです。

助成金が支給されるのに、利用場所がないというのは大問題ですよね!
そんななか、母子保健対策関係の補正予算(令和5年度)において、産後ケア施設開設に関する助成金「次世代育成支援対策施設整備交付金」が発表されていました。
産後ケア施設開設を検討される事業者の方は必見です!

目次

産後ケア施設を開設できる人

そもそも、「産後ケア施設はだれでも開設できるのか?」ということですが、
結論、できます。
いくつかの要件はありますが、一般企業が開設することも可能です。

「一般社団法人 日本子育て包括支援推進機構」は、産後ケア施設が安心安全に運営されるための施設基準を発表しているので、まずは、これらの基準をクリアできるかどうかを確認されると良いと思います。
施設長や保有資格、人員構成(助産師、保健師又は看護師のいずれかを常に1名置くなど)が記されています。

一般社団法人 日本子育て包括支援推進機構

助成金の概要

それでは、産後ケア施設開設に関わる助成金についてです。
母子保健対策関係の補正予算(令和5年度)では、下記のように記されています。

産後ケア事業を実施する施設の整備  
産後ケア事業を実施する施設の整備費について、補助率1/2相当額を2/3相当額に引き上げ、各市町村の取組を推進する。

各市区町村に対する助成金になりますので、助成金額や利用要件は各市町村毎に異なるようです。
例えば、神奈川県藤沢市を例にみてみると、HPに下記のように記載されています。

事業者の方へ
藤沢市内で産後ケア事業を実施する事業者の方を対象に、施設(産後ケア事業を実施する施設)の増改築や大規模修繕などの費用を一部補助する制度があります。対象となる要件や詳細につきましては、藤沢市健康づくり課までお問い合わせください。

詳細について見ていくと、「藤沢市産後ケア施設整備費補助金交付要綱」というものが発表されていました。
抜粋すると下記のような内容です。

助成金の対象となる「施設整備」
創設(新たな施設整備)
増築(既存施設の現在定員の増員を図るための整備)
増改築(既存施設の現在定員の増員を図るための増築整備をするとともに既存施設の改築整備)
改築(既存施設の現在定員の増員を行わないで改築整備)
拡張(既存施設の現在定員の増員を行わないで施設の延面積の増加を図る整備)
大規模修繕等 (耐震補強やそれに伴う給排水設備、電気設備、ガス設備など)

新たな開設だけでなく、改修や修繕工事にも交付されるということで、
既存の運営事業者でも利用できるということですね!

そのほか、助成金の対象者/必要書類/助成金額については、下記のように記されています。

補助の対象(抜粋)
設置主体が医療法人社団、医療法人財団、社会福祉法人、公益社団法人、
公益財団法人又は市長が認めた法人であること。

補助金交付の申請書類
(1)事業計画書(第2号様式)
(2)収支予算書(第3号様式)
(3)案内図
(4)建物配置図・立面図・平面図
(5)工事見積書(写)
(6)工事工程表
(7)工事実施前の写真
(8)前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める書類

助成金額について(原文ママ)
この補助金の補助額は、次により算出されるそれぞれの額の合計額とする。
(1)交付金交付要綱により国から市に交付される額
(2)交付金交付要綱において、同要綱別表1-4「次世代育成支援対策施設整備交付金における施設整備事業の国、都道府県(本表において指定都市及び中核市含む。)、市町村、設置主体の負担割合」の②の2に定める国の想定している市の負担割合により算出される額。

申請にはたくさんの書類が必要になるので、新規創設の検討段階での申請はハードルが高そうです…。
逆に、採用倍率は高くないかもしれません。

金額についての詳細は、直接自治体の事業担当者に問い合わせるのが良いと思います。
藤沢市の自治体のほかにも、いくつかの自治体のHPを見ましたが、
「毎年度予算の範囲内で定める額」「300万円を上限」など自治体毎に異なっていました。

藤沢市については下記をご確認ください。
藤沢市産後ケア事業

産後ケア施設開設 助成金についてのまとめ
・新規開設事業者だけでなく、既存の運営事業者も申請可能
・助成金額や支給要件は自治体によって異なる

産後ケア施設見学のすすめ

助成金の支給条件や申請手続きの手間はありますが、国として力を入れて取り組んでいる領域であり、
産後ケア事業への参入は大きなビジネスチャンスだと思います。

先日、台湾の産後ケア施設を運営する経営者にお会いしましたが、
日本はホテルのワンフロアを借りてすぐに開設できるし、
利用者の入れ替わりが早い(数日利用がメイン)ため利益を上げやすいと仰っていました。
実際に、その経営者の方は既に日本で2施設開設しており、今後さらに増やす予定ということです。

新規で産後ケア施設開設を検討する場合にあたっては、運営主体(委託か自社運営か)を決める必要がありますが、
まずはいくつかの施設に見学に行くことをおすすめします。

日本ではまだ利用者が少なく、行ったことがない人も多いと思いますので、
実際にいくつかの施設を見て、イメージを膨らませることが大切だと思います。

日本国内の産後ケア施設でも、企業訪問の受け入れを行っている施設もありますが、
世界一産後ケア産業が進んでいると言われている台湾の産後ケア施設の見学もおすすめです。

実際に、私もいくつかの施設を見学に行きましたが、とても素晴らしいサービスだと感じました。
毎日のおいしい食事や母子向け講座の開講、マッサージやSPAの提供など、産婦さんが安心して快適に利用できる環境が整っていました。

ご興味のある方は、まず見学してみて、理想の産後ケア施設についてイメージを膨らませてみてください!

下記の写真は私が見学した産後ケア施設です。

※写真:「愛兒家產後護理之家」(お部屋)

※写真:小青田產後護理之家(SPA室)

※写真:令和產後護理之家(献立表)

見学したい場合は直接施設に連絡してしまっても大丈夫ですが、
通訳が必要な場合や、どこの施設が良いか相談したい場合は弊社でもご紹介することができます。
ご興味ある方はお気軽にお問い合わせください!

目次